今さら聞けない肉の常識


第47回
<皮なしソーセージの"皮”>   日本獣医畜産大学畜産食品工学科向学教室

前号で天然ケーシングと人工ケーシングの主な種類と特徴を書きましたが、ケーシングに求められる性質・条件とはどのようなものなのでしょうか。
ケーシングは単なる薄い袋ですが、これが加工の各工程によっては過酷な条件をつきつけられ、ある時は相反する条件を求められることもあります。下図はソーセージ製造工程の略図ですが、各工程の下の数字はその時ケーシングに求められる性質です。これら相反するところは、できうる限り条件に合うように工夫されてきました。
ところで市販されているソーセージにはスキンレス(皮なし)ソーセージと呼ばれるものがあります。このソーセージは製法により2種類に分けられます。
1つはセルローズ系、塩化ビニリデン系等のケニシングを用いて充填し、水煮・冷却後、ピーリング(皮剥き)マシンでケーシングを取り除いてから包装または袋詰めしたもので、本当の皮なしソーセージなのです。
もう1つはプロテコンシステムと呼ばれる方法です。これはスタッファー(充填機)のノズルが二重構造になっており、内側から練り肉が押し出されると同時に外側からコラーゲン溶液が流れ出て瞬時にして押し出されてきた練り肉に皮膜を作ってしまうもので、“うす皮”のケーシングを作りながら充填する方法です。
皮膜の素材がコラーゲンですので、可食性で適度の弾力性と収縮性を備え、また皮膜が薄く肉に密着するので、ウインナータイプのソーセージには最適といえます。ただ装置が高額なために、日本の食肉加エメー力一では数社が導入しているに過ぎません。
コラーゲンは普通のタンパク質と同様とアミノ酸が結合しでできていますが、普通のタンパク質は通常水に溶けた状態で動物体内にあるのに対し、コラーゲンは水に溶けず、多数のコラーゲン分子が集まりコラーゲン繊維を形成、これらが集まり結合組織を形成しています。筋内膜・筋周膜等においては食肉の硬さにも関係してくるタンパク質で、細胞の外にあるタンパク質等ともいわれています。
コラーゲンは体内の各部位に含まれていますが、とくに多く含まれているのが腱、皮膚、骨、軟骨、靱帯等ですので、と畜場での副生物を有効利用できるのです。コラーゲンはソーセージのケーシング以外にいろいろなところに使われています。古くはニカワ(接着剤)、写真フィルムの乳剤からアレルギーを起こしにくいタンパク質なので、人工血管、人工皮膚、止耐剤、飲み薬のカプセル、コンタクトレンズ、化粧品等にも使われていますし、近年毛髪の手入れや関節痛や骨粗鬆症に効くという報告もあるようです。(鏡晃)
1997.4  ミートジャーナル


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