今さら聞けない肉の常識

第27回
<食肉摂取と老化・成人病〉 日本獣医畜産大学畜産食品工学科肉学教室

 前回畜肉脂肪の酸化とフリーラジカルについて書きましたが、私達の体内でも全く同様な過酸化作用が行われています。生体膜はリン脂質とタンパク質によって構成されていますが、これらに活性酸素が作用して過酸化脂質やタンパク質の過酸化物ができます。
 体内の脂質が過酸化され、過酸化脂質ができるときにもフリーラジカルが生じるため、活性酸素、フリーラジカル、過酸化脂質の3つのファクターが相互に関連しあって異常な酸化をおこして老化を促進しているのではないかと考えられています。1)
 また血液中のリポタンパク質LDLがフリーラジカルにより障害を受けると動脈硬化につながり、タンパク質が酸化されると生体は自分のタンパク質を認識できなくなって免疫不全を引き起こします。遺伝子が障害を受けると奇形や癌が発生します。
 しかし、生体内では食肉、肉製品とは違って有害な活性酸素やフリーラジカルからからだを守る“抗酸化”という防御システムが備わっています。抗酸化のメンバーは多岐にわたっていますが、主なものにスーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼなどの酵素があって活性酸素を安定な形に分解しています。
 酵素以外では、ビタミンA,C,E、べ一夕カロチンなどが自分のもっている水素をあてがってやることでフリーラジカルを安定化させるものが多くあります。この中でビタミンEは中心的役割を果たします。脂肪酸ラジカルに水素をわたして安定化させたビタミンEは自らビタミンEラジカルになってしまいますが、脂肪酸ラジカルのように隣の分子を襲うようなことはなく、ビタミンCなどから水素をわけてもらって、再びフリーラジカルを退治する態勢を整えることができます。
 からだの構成タンパク質も同様に過酸化を起こすため、良質のタンパク質を補って構成タンパク質の更新をはかることが大切です。食肉は人間のからだのタンパク質に近いアミノ酸組成をもっていますから好ましいタンパク源です。1)
 老化とコレステロールの関係について、長寿地域の高齢者のコレステロール値は高い値を示しており、決してコレステロール値が低下していないことが示されています(図1)。長寿地域の食生活調査では高齢になっても食肉の摂取量が減少していないことが明らかになっています(図2)。高齢になっても健康に生活するためには、コレステロールの有害な働きを恐れて食肉の摂取量を減らす必要はなく、むしろ積極的な摂取が望ましいといわれています2)。
参考図書:1)平井後策、Healhe meat:’93 11−15 2)柴田博、Healhe meat:’93:32−36 (平野正男)
1995.8 ミートジャーナル




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