今さら聞けない肉の常識

第20回 く日本の品種は?> 日本獣医畜産大学畜産食品工学科肉学教室

 日本にはどのような品種の豚が飼育され,テーブルミートとして,またハム・ソーセージとして,私たちの食卓をにぎわしているのでしょうか。
 もともと豚は,野猪を家畜化したものといわれています。ヨーロッパ野猪からヨーロッパ土産豚が作られ,アジア野猪からアジア土産豚が作られ,これらの土産豚が他の地域の土産豚とともに品種改良のための交配がされています。
 そして現在の豚の品種は,約100種にもなるといわれていますが,そのうち約30種が優良種として世界各国で飼育されているようです。
 これらの品種は使用目的,用途によって品種改良され,大別して.脂肪型(ラードタイプ),加工用型(ベーコンタイプ),生肉用型(ボークタイプまたはテーブルミートタイプ)に分類されていました。
 脂肪型は,体形は比較的大型で体質強健,性格温順,産肉能力にすぐれ脂肪の乗りが大変良く,豚種はデュロック種,ポーランド・チャイナ種.チェスターホワイト種(3種ともにアメリカ原産)があります。
 加工用型は,体形が大型で加工品のベーコンを作るために必要な脇腹が長く,胴伸びが良く,ロース部とバラ部(ベーコン部)の肉付きが大変良く,その上赤肉と脂肪の割合が良い豚種です。ランドレース種(デンマーク原産),大ヨークシャー種(イギリス原産),タムウォース種(イギリス原産)等の豚種がいます。
 生肉用型は,体形が中型で体質強健,肉付き肉質がともに良く.骨細でロース芯が太く,枝肉歩留まりが優れています。豚種としては,中ヨークシャー種,パークシャー種(2種ともにイギリス原産)等があります。
 しかし,最近では日本を含め世界各国とも性質温順で飼育しやすく,繁殖能力,保育能力が優れ,赤肉部が多く脂肪郎の少ない豚種,そして飼料代がかからず(飼料効率の高い豚種),短期間で仕上がる(5〜6カ月)豚種になるように品種改良がされていますので,上記のようなタイプ別の豚種分類は困難こなってきています。
 現在,日本で飼育され食卓を賑わしている豚肉は,大部分が大ヨークシャー種,ランドレース種,ハンプシサー種そしてデュロック種を雑種交配して,桐料効率が良く,短期間で仕上り,伺育しやすい,養豚家にとって都合の良いハイブリッド豚です。豚種も外国からの輸入品であるならば,飼料も大部分が輸入品です。トウモロコシやマイロ(モロコシ類)を原料とした配合飼料ですが.配合割合等の正確な中身は養豚家でも把握できていないようです。
 豚肉の輸入も盛んで,消費量の約40%近くを占めつつあります。豚種は日本と同じようなハイブリット豚で.輸出第1位が台湾,次こオランダ,デンマーク,アメリカの順になっています。
 日本古来の黒豚などの在来種に,イモ類,フスマ類,麦類に野菜くず等を混ぜ合わせた自家製のエサを与え,約1年近く時間を掛け,じっくり育てた豚,そこから作られたロースハムは,炭火で炊くと油が滲み出てきたものです。醤油を付けて食べたあの独特の風味は,もう手に入れることはできないのでしょうか。
 注*ハイバリッド豚 品種の違った両親から生まれた交雑種の豚をいう。昔は雑種をいっていたが,現在は系統造成利用等,計画的な交雑種利用にて生産された豚を指すことが多い。ハイブリット牛も生産されている。
 (鏡 晃)

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